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サポートネット虹の会は西豪州政府に登録された非営利非宗教の社会福祉法人です |
中原武志 |
リタイアメント・ビレッジ見学会報告住所 Tighe ST, JOLIMONT 案内者 JANE 案内者 JEFF 案内者 ALAN 99年、東京で開催された海外日系人大会に出席したおりに、別の会合が外務省会議室で開かれ、私にも参加の要請がありました。その会議が終って退席しようとしていた時に、時の領事移住部部長から「豪州で日本人を対象にした老人ホーム及び病院を作る場合の障害などについて調べて欲しい」という要請を受けました。 以前から日本人の間で「日本人だけの老人ホームがあれば」という話をあちこちで耳にしたことがありましたので、この要請を受けた機会に調べました。 結論から申し上げますと、豪州は広く、豪州のどこに設置するかによって条件は異なりますし、日本人だけの施設を作ることは実質上出来ないことが分かったのです。 調べる過程で浮かび上がってきたのは、西豪州厚生省の担当者の意見でした。豪州に数多く存在するリタイアメント・ビレッジを利用すると言う方法です。豪州の都市には、各サバーブ毎にあるかと思われるほど多くのリタイアメント・ビレッジが存在します。 オーストラリア人は同じ家に何十年と住む人は少なくどんどん転居していきますが、特に子供たちが独立した後は、より小さな家に移ることが多いようです。老齢期を迎えますとそれまで住んでいた家を売り払いリタイアメント・ビレッジで暮す人も多く、そのためリタイアメント・ビレッジ建設が増えているように思います。 大きな庭の管理、プールの管理などから逃れられるだけでなく、ビレッジで新たな友人を作ることも出来ますし、家を売った差額のお金を生活費に当てることができるという面ももっています。日本では考えられないような素晴らしいシステムだと思います。 リタイアメント・ビレッジは西豪州だけでも200箇所以上あり、そのすべてを調べることはできませんが、今回その内の3箇所を推薦していただき見学会を催しました。参加者は8名でした。以下は見学会で見たこと、感じたことと、参考までに豪州最大のリタイアメントビレッジについても書いてみました。 「ST, CETRO IVES」 住所 Tighe ST, JOLIMONT 案内者 JANE<スビアコ> 今年7月にオープンした真新しいもので、雰囲気は日本風のマンションのような感じでした。〔写真参照〕全部が完成した暁には 210ユニットになるが第一ステージの現在は50ユニットが完成している。入居資格は60歳以上です。価格は、2〜3ベッドルームでA$265000〜480000〔102平米〜190平米〕となっていますが、ここの場合は25年リースとなっています。25年経過した後は、改めて契約を結ばなくてはなりません。管理費は75ドル/週です。公立、私立の病院も比較的近く、スペシャリストの多い地域にも近い。施設内には常駐の看護婦がいて緊急の場合に備えています。 「OCEAN GARDENS」 住所 60 Kelinda DR, City Beach 案内者 JEFF<シティービーチ> 設立は 1988年。入居者は290名、アパートメントタイプとビラタイプがあります。アパートメントタイプの価格はA$170000〜200000(2ベッドルーム)管理費はA$337/月ビラタイプの価格は A$175000〜295000(2ベッドルーム)管理費はA$256/月となっています。アパートメントよりビラタイプの方が多く用意されています。アパートメントタイプの各部屋からは車椅子でさまざまな場所に移動できるよう配慮されていますし、広いエリアのあちこちにバーカウンター /ユーティリティルームが配置されています。新築のアパートメントもありました。ビラタイプは元気な夫婦向きで自立型タイプといえるでしょう。アパートメントタイプは一人住まい、障害がある人、より高齢者に向いているように感じました。別料金を払えばさまざまなサービスを受けられますので掃除、洗濯、食事なども不自由しないようでした。 見学させていただいたビラタイプの家からは 180度に広がる景観とインド洋が見られ素晴らしい眺めでした。2ベッドルームでA$245000(No 44)でした。このような素晴らしい景観はアパートタイプの中でもあるようですし、立派なファンクションルームからも見られました。シティビーチまで車で5分と近く、高台にあって景観も良く、1988年から13年間の運営経験が生かされているという感じをもちました。魚屋さん八百屋さんが売りに来てくれると言う事でしたし、週に何度か買物のためのバスが出ています。また、施設内でのさまざまな催しが盛んに行われている様子でした。 このリタイアメント・ビレッジは、リタイアメント・ビレッジの大半がそうであるように終身リース形式をとっています。入居資格は 55歳以上となっています。現在の入居者平均年齢は78歳とのことでした。「CAMBRAI VILLAGE」 50 Heater AV, MERRIWA 案内者 ALAN<ミンダリーキーの近く> 通りに面した住宅街という感じのリタイアメント・ビレッジです。すべて<2戸一>形式の建て方です。2ベッドルームですがリビングも広く使い勝手も間取りによっては良いように思われました。ただ、床のじゅうたんからすべて自分負担になっていますので価格よりは多い目に計算する必要があります。 A$140000均一で、管理費はA$55/週ですが、各家の庭の芝刈りなどもこの中に含まれています。買物バスも出ているそうです。第 1期目のオープンが1999年で現在第2期区域を建築中です。それが完成すると入居者数は1000人になるということです。入居者の平均年齢は71歳ということでした。ここも終身リース形式をとっています。リタイアメント・ビレッジというより住宅地という感じですが景観はよくありません。パースから車で40分という距離です。ここは比較的格安なはずで軍隊経験がある人たちのためのもので、国から補助が出ているそうです。熱心に説明してくださったのですが、私たちは入居出来ません。以上 3箇所のリタイアメント・ビレッジには、いずれもプール/ボーリンググリーン/エキササイズルーム /ゲームルーム図書室など多くの共同施設がついています。(注意点) リタイアメント・ビレッジは Retirement Village Act 1999(リタイアメント・ビレッジ法 1999年制定)により定められた施設で、一般にはSelf Care Units とServiced Apartmentsが含まれます。 施設は、多くの場合私企業によって運営され、サービスの内容や入居費用、経費は運営者と入居者の契約によって行われ、法の規制はありません。 従って、入居前に専門家に相談をして、契約書を良く調べて十分納得の上で契約を結ぶことが大事です。リタイアメント・ビレッジの場合は、ほとんどが終身リースの形をとっています。リースは住宅だけでなく共同部分の利用権と基本的なサービスが含まれていると考えてよいかと思います。 施設によって、理容室、美容室、売店などもありますし、部屋にはシャワーだけの場合とバスタブが備わっているものもあります。実際に入居する際には自分の目で確かめて納得してから契約することをお勧めします。ほとんどのリタイアメント・ビレッジは私企業の施設ですから、永住ビザでなくても入居できます。 終身リース及び期限付きリースの場合も、途中で出る場合は自由にリース権を売り買いできません。施設に申し出て決められた不動産業者により売り出され、そのときの市場価格で取引が行われます。それぞれ施設ごとに取り決めがありますので確認してください。 値上がりがあり、キャピタルゲインが発生した場合は、その 25%前後〜45%程度を施設側が受け取るような決まりがあります。施設ごとの確認が大切です。なお、管理費は共同部分の管理なども含まれていますが、個人で使用する電気、水道、電話などは含まれておりません。豪州で最も大きなリタイアメント・ビレッジ 「EARLE HAVEN RETEIREMENT RESORT」 <ゴールドコースト郊外> 16ヘクタールという広大な敷地に376戸の自立生活ユニットと111戸のサービス付ユニット、ホステル30室・ナーシングホーム59室がある。広大な敷地は庭園としてもゴールドコースト市のコンペに優勝したほど整備されています。毎日ゴールドコーストまでショッピングバスが出ているのも便利です。 このリタイアメント・ビレッジ最大の特徴は、自立生活ユニットからナーシングホームまで4段階が備わっていることです。自立生活ユニットで生活していて万一病気とか怪我をして介護が必要になったときにはサービスつきユニットに移ることができるし、病気の進行によってはホステルとかナーシングホームへ移ることが出来ます。それぞれの施設には内部の施設から移り住んでいる人が3分の2はいるそうです。 日本でも老人ホームなどの施設にはなかなか入居できないらしいが、豪州でも近年はナーシングホームなどへの入居が大変難しくなってきています。そういう意味では、ここは安心して老後をむかえることができるというわけです。 自立生活ユニットでの平均年齢が80歳、サービス付ユニットでの平均年齢は85歳となっていて快適な環境が伺えます。 自立生活ユニットの場合、2ベッドルームでA$150000前後、サービス月ユニットの場合 A$80000前後となっていて比較的安くなっています。 現在ここには日本人が3組入居しているようですが、そのうち2組は直接日本から入居したということです。 以上、リタイアメント・ビレッジについて考えてきましたが、老後を誰とどこで暮すかということは大変大きな問題です。日本では簡単に施設に入ることが出来ない現状の中で、今後は日本からリタイアメント・ビレッジに直接入居するというケースが増えることが考えられます。同じ施設に数組がまとまって入居すれば言葉の問題も解決しますし、文化的な面でも満足が得られるかもしれません。皆さんの住んでおられるごく近くにもリタイアメント・ビレッジがあるはずです。そこに住んでいる方たちを観察してみてください。皆さん大変満足そうな表情をしているに違いありません。 |